介護施設の残業の事前申請ルール|決めておく5つと注意
残業の事前申請は、残業を減らす決まりではなく、どこで何のために残業が起きているかを、起きる前に施設長と本部が知るための決まりです。申請が無かった残業でも、使用者の指揮命令のもとで働いた時間は労働時間で、賃金の支払いが要ります。
残業の事前申請で、何を知りたいのか
介護の残業は、急な欠勤の穴埋め、利用者の急変、記録、会議、送迎の遅れなど、理由が決まっています。事前申請の目的は「残業を出させない」ことではなく、理由ごとに偏りを見つけ、シフトや仕事の分け方を直すことです。目的を職員に伝えずに始めると、申請しづらい空気だけが残り、申請しない残業が増えます。
決めておく5つ
| 決めること | 例 |
|---|---|
| 1. 対象 | 終業の後の残り・早く来た分・休憩が取れなかった分のどれを申請するか |
| 2. いつまでに出すか | 残業を始める前に。急な対応は、その日の終わりまでに事後で |
| 3. 理由の書き方 | 「欠員の穴埋め」「利用者の対応」「記録」「会議・研修」など選ぶ形にする |
| 4. 事後の扱い | 事後でも受け付ける。理由が「欠員」なら、シフトの見直しの材料にする |
| 5. 承認者 | 施設長。月の合計が決めた時間を超えそうな時は本部にも回す |
申請が無い残業にも、賃金は要る
厚生労働省のガイドラインは、労働時間を「使用者の指揮命令下に置かれている時間」とし、使用者が始業・終業の時刻を確かめて記録することを求めています。事前申請が無かったことだけを理由に、実際に働いた時間の賃金を払わない運用はできません。事前申請は、実際の時間の記録(打刻など)とは別に、理由と見込みを知る仕組みとして置きます。
出どころ:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322_00001.html
月の合計を、申請の時に見えるように
時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間です。特別条項があっても、時間外労働は年720時間以内、時間外労働と休日労働の合計は単月100時間未満・2〜6か月のどの平均も80時間以内、月45時間を超えられるのは年6か月までです(1年単位の変形労働時間制などでは原則の上限が違います)。申請の合計だけで上限を守れているかは判断できません。月末に集計して初めて合計が分かる運用だと、気づいた時には手が打てません。申請の時に、その人のその月の合計を本人と施設長が見られるようにしておくと、早めにシフトや担当を直せます(申請の時に今月の合計を見る)。
出どころ:厚生労働省「時間外労働の上限規制」 https://hatarakikatakaikaku.mhlw.go.jp/overtime.html
よくある質問
事後の申請は認めない方がいいですか。
急な対応はどうしても起きるため、事後でも受け付ける方が実際の残業がつかめます。事後が多い理由(欠員・急変など)を見て、シフトや人の配置を直す材料にします。
理由は自由に書かせた方がいいですか。
選ぶ形の方が集計しやすく、偏りが見えます。「その他」を残し、中身を短く書けるようにします。
職員は会社の公式LINEから勤怠(残業)の申請を出し、その時にその月の残業の申請の合計を見られます。施設長はスマホで承認し、本部は待ち日数つきの一覧で見ます。実際に働いた時間の確定(打刻)は今の勤怠の仕組みで行います。
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